『大垣駅前商店街』激渋看板とレトロ建築散策、戦後の空中都市計画

大垣市

純喫茶やレトロ建築巡りで何度か訪れている「大垣」。街中を流れる豊かな湧き水と、至る所に昭和の面影が残る大好きな街です。

JR大垣駅南口を出るとまっすぐ続く「大垣駅前商店街」の広々としたアーケード、一見すると、全国の地方都市によくある「少し元気のないシャッター商店街」ですが、かつての街の賑わいのカケラが今もあちこちに残されています。

昭和の「空中都市」を構想して建てられた巨大な防災ビル群から、看板やフォントがたまらないレトロな店舗の数々まで。
街の歴史探索と散策を楽しめちゃう大垣駅前商店街周辺エリアの魅力をレポートします。

歩くだけで歴史が紐解ける、大垣駅前商店街の「3つの秘密」

青空の下に広がる大垣駅前商店街(OKBストリート)の広々とした片側2車線道路とアーケードの全景

JR大垣駅南口を出ると、目の前には見通しの良い広い道路に左右に広がる大きな商店街がまっすぐと続いています。 通称「OKBストリート」、地元を支えてきた大垣共立銀行の名前がついているのが大垣らしいですね。

実はこの通りは第二次世界大戦の激しい空襲で市街地半分以上が焼失、そこからの地域あげての復興、昭和の高度経済成長期の熱気という「歴史の地層」が残る、全国的にも極めて希少な場所なのです。

① 復興のシンボル「大垣版・100メートル道路」

広々とした大垣駅前通りの見通しの良い直線道路と歩道を覆う巨大な全蓋式アーケード

大垣市は戦時中の大空襲によって国宝だった大垣城をはじめ、終戦時には中心市街地の約54%が焼け野原になるという甚大な被害を受けました(大垣市公式サイト参照)。

戦後の復興計画の際、「これからのモータリゼーション(車社会)を見据え、災害にも強い広い道を」という強い願いを込めて、焦土の中に大胆に計画されたのがこの道路です。

その幅は実に約36メートル。名古屋の100メートル道路にも通ずる壮大なスケール! この駅前商店街の大通りは戦後の焼け野原から力強く立ち上がる大垣の人々のエネルギーと未来への希望でもあったのですね。

② 昭和の「空中都市」防災ビル群

アーケードの屋根の上に規則正しく並ぶコンクリート製のベランダと避難用の鉄骨階段

商店街を歩くときは、ぜひ途中でアーケードの上を見上げてみてください。 コンクリート製のベランダや、斜めに架けられた鉄の階段がずらりと規則正しく並んでいるのが見えます。

レトロなモザイクタイルの外壁と規則的に配置された昭和モダンな共同ビルの窓

これは昭和30年代後半〜40年代にかけて全国で流行した「防災建築街区」の思想に基づいて建てられた共同ビルなんです。 火災に強い鉄筋コンクリートで街区を丸ごと覆い、1階を店舗、2階以上を集合住宅やオフィスにするという、当時の最先端だった“空中都市”のようなモダン設計が今も息づいています。

グレーとベージュのモザイクタイルの配色や窓の配置は、今見ても非常にスタイリッシュですよね。

③ あえて残された「城下町のクランク」

気持ちよく広く真っ直ぐに続いていた大通りですが、南へ進んで「郭町」交差点付近に差し掛かると、道が突如としてグッと折れ曲がります。

これは、江戸時代の城下町特有の「枡形(クランク)」と呼ばれる、敵の侵入を防ぐために造られた防衛ラインの跡地です。
このグリッドをあえて残し、新旧の都市計画を絶妙に融合させることで街に”遊び”を残したのでしょう。

今回はご紹介する駅前商店街は「表の顔」、そしてかつての闇市の熱気が残るディープな裏通りの路地、、豊かな水の都の象徴「大垣八幡宮」の湧き水、そして大正から昭和にかけて繊維産業で爆発的に栄え、街の中心だった駅北エリアなど、いくつかにレポートを分けて大垣の街の魅力を深掘りしていきますね。

大垣駅前商店街「OKBストリート」現役の昭和を探して歩く

ゆったりとした道幅の歩道を覆う全蓋式アーケード商店街の様子

広い大通りの左右に広がるアーケードは広い歩道が確保されています。ここが 最盛期には駅まで買い物客で埋め尽くされるほどの賑わいを見せていたそうです。

現在では多くのお店がシャッターを閉じており、人通りもまばらなのが少し残念。 地方の車社会化によって駅前商店街が衰退していくのはどこの都市も同じですね。

すてきなレトロが残っていそうな商店街をさっそく歩いてみます。

電波屋と書かれた古い電気店のレトロな看板と懐かしいナショナルNationalのロゴマーク

「電波屋」さん。ナウい「エレクトリック」の文字と、赤地に白抜きの「National(ナショナル)」ロゴが残ってる!

やおまんと書かれた果物店の店頭に並ぶ立派な手編みの山盛りの籠もり

「やおまん」さん。冷蔵ケースの上に置かれた「こんもりのフルーツ盛り」、子どもの頃は大きな病院の向かいの果物屋さんに置かれていて憧れでした。

正札堂と独特な丸みを帯びたレトロフォントで書かれた店舗の看板

「正札堂(しょうふだどう)」、フォントのデザインがよき。何を扱うお店だったのかしら。

城東金物神保商店の趣のある店構えと店先に佇む可愛い看板猫の姿

「城東金物神保商店」、このビジュアルはもはや昭和遺産アートですね! 看板猫ちゃんもいます。

ナンデモヤと書かれた看板と店頭に所狭しと並ぶ昭和レトロな雑貨や玩具の数々

「ナンデモヤ」さん!その名の通り籠に鍋に日用品まで所狭しと並んでて昭和レトロがいっぱい、初めて訪れたときには楽しすぎて1時間以上もお店を見て回っちゃいました。

ヒシヤパンリボリの味わい深い店舗外観と懐かしいパンのディスプレイ

「ヒシヤパン リボリ」、ここが作る学校給食のパンで大垣っ子は育ちました(笑) 創業70年を超える老舗のパン屋さんです。

大垣の老舗パン屋「リボリ」へ!昭和レトロと絶品デニッシュが織りなす極上のハイブリッドの記録
大垣駅前商店街の「ヒシヤパン リボリ」は創業1949年(昭和24年)の老舗パン屋さん。3代目自慢の本格的デニッシュと昔ながらの懐かしいパンが並んだハイブリット店。

歴史のグラデーションを感じる、商店街の東エリアへ

メインのアーケード通りから一本路地を入った東エリアにも、かつての賑わいを思わせるお店やこじゃれたレトロ建築が並んでいます。

キク薬局の健康相談と書かれた古い看板と角に併設された小さなたばこ売店の窓口

「キク薬局」、「健康相談」と大きく書かれた看板の下、角の部分は「たばこ売店」(笑)。

宮大工が手掛けた重なり合う入母屋の三角屋根を持つ田中屋せんべい総本家の重厚な木造店舗外観

通でも存在感がある日本一硬いと言われる銘菓「みそ入大垣せんべい」の「田中屋せんべい総本家」さん。

宮大工の手によって建てられたという、美しく重なり合う入母屋(いりもや)の三角屋根を持つ重厚な店舗は、大垣市の歴史文化遺産にも指定されている歴史的建造物です。

大垣・日本一硬い?『田中屋せんべい総本家』をレトロ散策!名物みそ入せんべいと「まつほ」実食の記録
安政6年(1859年)、変わらぬ味わい看板商品「みそ入大垣せんべい」、伝統の味を守りながら「まつほ」「YES! SENBEI CAN」など斬新的な商品も生み出している。
人形の石川の店舗外観に並ぶ美しい連続したアーチ型の窓デザイン

こちらは「人形の石川、上部に綺麗に並んだアールの窓が非常にモダンで、昭和中期のハイカラな建築美学を感じさせます。

とんかつのエビスのフォントが魅力的な昭和レトロな飲食店街の店構え

「とんかつのエビス」さん。フォント、扉のシール、食品サンプルのショーケース、外観だけでおなかいっぱいになってしまう、めちゃくちゃ気になる佇まいです。

おかだやの歴史ある器や雑貨が並ぶ店先と商店街跡の街並み

手前にある雑貨や器を扱う「おかだや」さんは、なんと創業150年を優に超える(創業158年!)という超老舗。 大通りの防災ビルができる前から、この東エリア一帯も地域を支える商店街だったのでしょうね。

ファッションミフジのレトロな日よけテントに残るNON NOの懐かしいブランドロゴ

「ファッション ミフジ」、パラソルのような可愛らしい日よけテントには「NON NO」のロゴが残されています。

日立の木ロゴマークと大きな曲線窓が特徴的な古い街の電器店のファサード

こちらは「HITACHI」の文字、ロゴの上には「この木なんのき、気になる木~。」のイラスト。大きなアールを描くショーウィンドウの中には、カラーテレビや洗濯機などの最新家電が並んでいたのでしょうね。

長勝寺のコンクリート造りを取り入れたモダンな本堂の建築デザイン

商店街の裏にある「長勝寺」、お寺っぽくないモダンな建築デザインが目を引きます。

重厚な石造りとモダンな鉄扉が融合した長勝寺の門構え

アーチにンなった扉、色合いもすてきです。

おわりに:時代を映すタイムカプセルとしての商店街

この記事では、私自身が2025年5月、6月、そして2026年6月と、足繁く大垣へ通う中でファインダーに収めた大垣駅前商店街のリアルな風景を記録しました。

こちらの記事を書いているところで「2012年当時の大垣駅前商店街」の風景を紹介している街歩きブログを見つけました。
>>まっちの街歩きブログ(外部サイト)

当時の写真を見ると多くの店に明かりが灯り、今とはまた違った活気ある風景が移っています。10年ちょっとの移ろいゆく商店街の風景。 この景色は10年後にはどうなっているんでしょうね。

*2025年5月、6月、2026年6月訪問撮影。

※ 記事の情報は各訪問日時点のものです。
最新の営業状況や街の状況については、公式サイトやお電話等にてご確認くださいませ。

【English Summary】
In this article, I introduces the fascinating historical layers hidden within Ogaki Station Shopping Street (OKB Street). What may look like a quiet, nostalgic shopping district is actually a rare post-war treasure. Highlights include the “Ogaki 100-meter Road” built during post-war reconstruction, the futuristic 1960s “floating city” style concrete disaster-prevention buildings, and a unique castle-town crank left over from the Edo period. Explore with me the charming, retro storefronts and heavy historic architecture that make Ogaki a truly precious time capsule of Japanese history!

コメント

You cannot copy content of this page

タイトルとURLをコピーしました