前回までの記事では、大垣駅南口の「お城街」のディープな裏路地、駅前商店街のミルフィーユな歴史をご紹介してきました。
今回の記事は大垣駅の北口へ。今でこそアクアウォーク大垣などの新しい商業施設や住宅地が広がる駅北エリアですが、かつては大垣を日本有数の産業都市へと押し上げた「繊維・紡績産業の巨大な心臓部」だった場所でした。
繊維業が最盛期だった頃の昭和の残り香が残る林町の商店街に足を運んでみました。
かつての「紡績工場の街」、駅北エリアの歴史
現在、駅北口のすぐ目の前にある大型ショッピングモール「アクアウォーク大垣」。この広大な土地は、明治期に誕生した日本屈指 of 紡績会社「摂津紡績(のちの大日本紡績・ユニチカ)」の大垣工場でした。
繊維や紡績の製造・染色プロセスには大量の清らかな水が欠かせません。大垣が「水の都」として豊富で良質な地下水に恵まれていたからこそ、ここ林町周辺には日本を代表する巨大工場が次々と集まりました。
さらに林町3丁目にある「大垣林町郵便局」のすぐ裏手(現在の林町6丁目付近)には、もう一つの繊維大手である「オーミケンシ(近江絹糸)大垣工場」の広大な敷地もありました。
かつてこのエリアは、数千人規模の「女工さん」たちや工場労働者が行き交う、信じられないほどの活気に満ち溢れた場所だったのです。
静かな角に佇む、木造の面影を残す「大垣林町郵便局」

まずはこちら「大垣林町郵便局」を目指して歩きました。
かつては周辺に広大な繊維工場があった駅北エリアの中心でこの通りはお店が立ち並ぶ商店街でした。

古い「〒マーク」のポール、1階の庇は銅板で緑青のよい色合いです。
大正末期から昭和初期に建てられたもので、現役局舎として最古級のものではないかと言われています。
林町郵便局横、レトロモダンな看板建築「鹿島薬局」

そして隣接するこちらの建物が、細部まで凝った意匠のモダンな看板建築なのです。

総タイルの2階壁、屋根の装飾、文字盤が喪失してしまっていますが屋号が掲げられてたのであろうハイカラな看板跡。 窓のアーチの飾り装飾もすばらしい。

窓のアールアーチ、こちらは手間をかけて取り付けていますね。さり気ない装飾もあしらわれています。

エントランス、ベージュタイルに黒のタイルの円柱。

この円柱タイルがぷくっと立体になっていて大理石のような輝き、まさに職人技です。
郵便局のすぐ隣で、街の人々の健康をあたたかく支え続けていたおしゃれな薬局。当時の林町の賑わいや、ここで交わされた温かい会話が今にも聞こえてきそうです。
創業260年!「岡田防水布店」
林町郵便局と同じ通りに、創業260年の老舗「岡田防水布店」があります。

なんと創業は宝暦年間。江戸時代からこの大垣の地で木綿などの布製品の加工や防水処理を手がけ、紡績の街として栄えた大垣を影から支え続けてきた、本物のレジェンド店!

こちらの建物は昭和20年代くらいでしょうか。引き戸は木枠のままで老舗の貫録を感じさせますね。
今もふんわり漂う、昭和の商店街だった「残り香」
その他にもこの通りは商店街だったようで、多くの昭和のカケラが残っています。10年ほど前までは銭湯があり、飲食店も残っていたようです。

文久3年(1863年)に創業した花村製油所。こちらも160年続く老舗。2階の窓が趣きがありますね。

かつては裏側に菜種を絞るための工場があったそうです。

「豊年天ぷら油」のブリキ看板、「TRADE MARK」の文字がレトロ。

「つんつんツノダのテーユー号」のツノダの看板。引き戸の上の並んだ窓がカッコいい!

多くの店舗がシャッターを閉じてしまっていたり、すでに解体されてしまっていますが、大きな繊維工場があった頃には商店街は朝昼夕と多くの人たちで賑わい、挨拶を交わし、活気があった姿を彷彿とさせます。

260年、160年続く老舗、大正時代に建てられた銅板屋根の郵便局。この通りは少しづつ姿を変えながら街を見守ってきたのでしょう。美濃路が通る大垣の奥深さをしみじみと感じさせます。
「水の都」を実感する、豊かな水路と小川

大垣の街を散策すると、あちこちに水路が流れており、豊かな水と緑に心が癒されます。

街角に残る手入れをされたお地蔵様とベンチ、こんなのどかな昭和の風景も残るしてきな街。

歩道には多くの水場が設けられ、おいしい水をいただけます。
一歩路地に入れば「古き良き大垣の日常」がそのまま残された街。心地よい風を感じながら、昭和の豊かさが残っているような気がしました。
おわりに
駅の南口が美濃路として古くから観光地として栄えた街。対して北口は、繊維工場で賑わう工員たちの活気に息づく街。駅を挟んでこれほど違う顔を持つのも、また大垣のおもしろさですね。
昭和の歴史の流れを体感できる大垣の街、豊かな自然を感じながらの散策が楽しいです。歴史ある煉瓦の倉庫も残っているそうなので、もう少し涼しくなった秋にまた、4回目のレトロ巡りに出かけたいと思います!
English Summary
In this article, I explore the northern side of Ogaki Station (Hayashicho), an area that once flourished as the heart of the textile industry. Walking down the nostalgic shopping street, I discovered the historic Ogaki Hayashicho Post Office, built around the early Showa period, and its neighboring retro building “Kashima Pharmacy,” which features a beautiful western-style tiled facade with a unique musical-score-themed metal sign. I also encountered traditional shops with over 160 to 260 years of history, and enjoyed the beautiful, clear waterways that define the “City of Water.” Take a relaxing stroll with me through this charming neighborhood filled with Showa-era nostalgia!
*2025年5月、6月、2026年6月訪問撮影
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