山口のレトロ旅、元乃隅神社の絶景を堪能した後は、萩高校の一角に保存されている「旧萩学校教員室(萩学校旧職員室)」を見学です。
重厚な白壁や武家屋敷が続く萩の城下町に位置する山口県立萩高等学校は、長州藩の藩校である明倫館の流れを汲み、明治3年(1870年)に創立された県下で最も古い歴史を持つ伝統校です。
わたしの大好物の疑洋風建築、足取り軽く渋い街並を向かいました。
武家屋敷に映えるパステルカラーの擬洋風建築

瓦屋根の白壁に囲まれた立派な門が前の奥にチラリと見えるパステルカラー。

激渋の武家屋敷が並んだ街並みに突如出現する、かわいらしいレース飾りのパステルカラー! ”激渋”と”激かわ”の落差に思わずギャップ萌えです。

パステルカラーの壁の上には瓦屋根、大きな格子窓も西洋風のデザイン。

三角屋根のレースの奥「半円に放射線」は太陽でしょうか? 学校建築らしい意匠ですね。
この時代にはパステルカラーが流行ったそうで、そういえば愛知県・岡崎市の旧額田郡公会堂及び物産陳列所もペールグリーンとピンクのハイカラな配色でしたね。

三角の屋根にそって繊細なレース装飾があしわられています。

エントランスを囲む板には透かし模様、どことなく和風テイストなのもいいですね。

エントランスを囲む支柱の繋ぐ柱もアーチになっており、レース飾りとともに軽やかな印象。

屋根の上には塔屋が見えます。

とはいえ、よく見てみると瓦屋根には日本伝統の「鬼瓦」までが鎮座しています。
明治初期、本物の西洋建築を見たことがない地元の棟梁や大工さんたちが、写真や見聞だけを頼りに見よう見まねで作り上げたのが「擬洋風建築」。
西洋への憧れと興味、日本の職人技が融合したデザインは、職人さんたちの知恵と工夫が詰め込まれており愛おしさを感じますね。
実はあの「巨大な明倫館」の敷地に建っていた!?

現在の「萩・明倫学舎」といえば、重厚なブラウンの木造校舎が印象的ですが、あの和の空間の中にこのパステルカラーが存在していたと思うと、少し意外に感じますよね。
実はこの教員室、現在の明倫学舎(昭和10年建築)よりも50年も先輩で明治20年(1887年)に建てられたもの。
当時はかつての藩校・明倫館の跡地にできた「萩学校(萩中学校)」の敷地内にあり、エリートお坊ちゃまが通う立派な学校の中に建つ、ハイカラな先生たちの執務室だったのです。
💡 いまでも「特別な許可」が必要?
この教員室、現在は山口県立萩高等学校の敷地内に建っています。
門前の案内板に従って職員室で受付をし、「首から下げる見学許可証」を受け取ってから見学してくださいね!
生徒さんたちに迷惑をかけないよう、静かに見学しましょう。
「解体なんてさせない!」卒業生たちが守り抜いた2度の引っ越し劇
この愛らしい建物、実はこれまでに2度も解体・移築を経験している波乱万丈な歴史を持っています。
明倫館の敷地から、昭和9年に「萩市役所」の敷地内へ移築され行政の現場で使われていましたが、昭和44年の市役所建て替えの際にいよいよ解体のピンチに直面することになります。
その危機を救ったのが、かつてこの学校で学んだ卒業生(萩高校同窓会)たちでした。
「自分たちの青春や母校の思い出が詰まった建物を消してなるものか!」と立ち上がった同窓会の熱意により、約2km離れた現在の「山口県立萩高校」の敷地内へと移築され、資料館として保存されることになったのです。
人々の「愛」で現代に残った、萩の秘められたロマン
かつて松下村塾が門下生たちの熱い想いによって当時のまま守り抜かれたように、この小さな教員室もまた、地元の人や卒業生たちの愛によって何度も命を救われ、約140年を経た今も微笑むようにやさしく静かに佇んでいます。
豪華な学舎は建て直され、小さな「松下村塾」や「旧職員室」、そして「旧河村写真館」が多くの人に慕われ保存される、地域の人々の熱量が詰まったレトロ建築がわたしは大好きですね。
おわりに
この記事では山口城下の武家屋敷に位置する「県立山口高校」の一角に佇む疑洋風建築「旧萩学校教員室(萩学校旧職員室)」をご紹介しました。
萩を訪れた際は、ぜひこの「渋い街に潜むパステルのロマン」に会いに行ってみてくださいね!
*2026年5月訪問撮影
※ 記事の情報は公開日時点のものです。
最新状況については公式サイト、お電話にてご確認くださいませ。
Summary
The historic town of Hagi is home to two remarkable buildings saved by the deep devotion of their alumni: the humble Shokasonjuku Academy and the charming, pastel-colored Former Hagi School Teachers’ Room built in 1887. Rather than replacing these modest structures with grand monuments, prominent graduates—including prime ministers like Ito Hirobumi—dedicated themselves to preserving them. Relocated twice to escape demolition, the former teachers’ room now stands on the grounds of Hagi High School, where visitors can view this delightful piece of history after registering for a visitor badge at the staff room.
旧萩学校教員室(萩学校旧職員室)の基本情報・訪問メモ
【施設名】旧萩学校教員室(萩学校旧職員室)
建設:明治20年(1887年)
住所:山口県萩市大字平安古530(山口県立萩高等学校敷地内)
アクセス:JR山陰本線「萩駅」または「玉江駅」から徒歩約15分
>>Google mapで場所を確認する
営業時間:見学自由(※現役高校の敷地内にあるため見学時は受付が必要)
定休日:なし
駐車場:なし(近隣のパーキングを利用)
💡 訪問時のポイント・注意点
現役の高校(山口県立萩高等学校)の敷地内に保存されているため、見学の際は「学校の職員室で受付で首から下げる見学許可証を受け取って見学する流れになります。
現地門前にも案内板が出ていますので、訪問時はルールを守って静かに見学を楽しみましょう。


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