【閉業】名古屋駅『喫茶すず』創業70年メゾネットのこじゃれた昭和純喫茶!モーニングのみ営業

名古屋駅・中村区エリア

喫茶すずへは最初は一人で、後に純喫茶好きのフォロワーさんと初めてお愛して一緒に伺ったわたしにとっても思い出深い喫茶店です。

店内はとても珍しいメゾネットタイプ。おしゃれな照明に、壁に並んだ美しい絵画はご主人が描かれたものなのだとか。2階席からの眺めも本当に素敵なお店でした。

【お知らせ】名古屋駅西口で長年愛されてきた「喫茶すず」は、2023年に惜しまれつつ閉店・解体されましたが、創業70年以上の歴史を誇るあの美しいメゾネット空間と温かい記憶を、貴重な写真とともにここに残しておきます。

また、こちらの「喫茶すず」は、名古屋駅西側を舞台にした太田忠司先生の大人気小説シリーズ『名古屋駅西 喫茶ユトリロ』に登場する「喫茶ユトリロ」のモデルとなった、ファンにとって唯一無二の聖地でもあります。小説の世界に思いを馳せながら、当時の面影を楽しんでいただければ幸いです。

お店の場所は?

渋いグリーンと山吹色のアーケードに馴染む喫茶すずのレトロな外観

お店の場所は名古屋駅から徒歩4分ほど、駅西銀座商店街にありました。

渋いグリーンと山吹色のカラーは商店街のアーケード。この独特な色合いが「喫茶すず」にしっくりとあいます。

スクエアのドアハンドルとメタル細工が美しい入り口のガラス扉

スクエアのアクリル製ドアハンドルと、メタルの飾り細工。

たくさんの鉢植えが綺麗に並べられた喫茶すずの2階の窓辺

2階の窓辺にずらりと並んだ鉢植えもかわいらしい。訪問時はコロナ対策のためか、入口扉が開放されていました。

看板には「喫茶・軽食」とありますが、晩年はコーヒーのモーニングのみ、11時までの営業となっていました。

昭和モダンなフォントが魅力的な喫茶と軽食すずの看板ロゴ

「喫茶と軽食 すず」のフォントも、いかにも昭和らしくて素敵です。 創業は昭和24年(1949年)で、ゆうに70年以上の歴史を紡いできた名店です。

50年ほど前に道路の拡張工事が行われた際、お店の一部を舗道にする必要があったため、当時まだ認可されていなかった3階建てへの建て替えを、特別許可を得て実現させたというエピソードをママさんに伺いました。

ハートのフェンスが躍る、憧れのメゾネット店内

入り口から見たキッチンと1階のレトロなテーブル席

扉を開けて入ると、左手がキッチン、右手にテーブル席が3つ並んでいます。

キッチン上の2階席を彩る可憐なハート型のアイアンフェンス

そして視線を上に向けると、そこにはキッチンの上階を利用したメゾネットの客席が。この空間を彩る、可憐なハート型のアイアンフェンス(鋳物の手すり)がすてき。

落ち着いたウッドの壁とモカ色のソファが上品な2階のメゾネット客席

階段を上がった2階にはテーブルが4つ。落ち着いたウッドの壁に、モカ色のシックなソファー、ウッドの壁の模様もよき。

2階席から1階のキッチンや客席を見下ろした絵画のようなアングル

2階席から1階を見下ろしたこの独特なアングルも、まるで映画のワンシーンのよう。

小説『喫茶ユトリロ』でも、主人公たちがこの中2階のような空間で言葉を交わしていたのだろうな、と想像が膨らみますね。

ウッドの壁に飾られた先代マスターが描いたという味わい深い絵画

温かみのあるウッドの壁に美しく飾られた絵画は、すべてママさんのご主人が描かれたものだそう。

透かし模様が施されたレトロで温かみのあるデザインのペンダントライト

ランプシェードから漏れる優しい光が店内を照らす様子

ランプシェードには繊細な透かし模様が入っており、そこから漏れる柔らかな光がお店の優しさを引き立てています。

お店の奥に気品高く飾られた美しい女神像のインテリア

奥に飾られた美しい女神像。こちらは2代目ママさんがお嫁に来る際、お友達から結婚祝いとしていただいた大切な品なのだとか。

店内のウッドインテリアに溶け込むクラシカルな女神像

こちらの特等席でママさんをずっと見守ってきたんですね。

ブラウンの床が心地よい2階フロアへと続く木製の階段

2階へと続く階段。床も深いブラウンで統一されており木の温もりが伝わってきます。

贅沢な厚切りトーストが付く、380円のモーニング

レトロなテーブルの上に置かれた小さなガラス製の水差し

テーブルの上には、ちょこんとした可愛らしい小さなガラスの水差しが置かれていました。

丁寧にお洗濯された布おしぼりとホットコーヒー

おしぼりは、丁寧に洗濯された自前の布おしぼり。灰皿は置かれておらず、店内は完全禁煙でした。

コーヒーの価格だけで付いてくる厚切りトーストとゆで卵のモーニング

運ばれてきたモーニングは、分厚い厚切りトースト1枚分とゆで卵! 名駅エリアでコーヒー代380円だけでこのボリュームは奇跡といっても過言ではない(笑)。

黄身がとろりと絶妙な半熟加減に仕上げられたゆで卵

ゆで卵は黄身がとろりと絶妙な半熟加減!さすがの職人技ですね。

2回目の訪問時に添えられていたおなじみの柿ピーのおつまみ

こちらは2回目に伺ったときのもの。モーニングではなく柿ピーをつけていただきました。

店内は常連さんが出入りしており、大きな新聞を広げていたおじいちゃんは「先代のママの時代からずーっとここ一筋で通っているんだよ」と笑顔でおっしゃってました。

ママさんが見せてくれた建て替え前のお店のセピア色の古い写真

ちょうどタイミングよく貸切状態になりお話をさせていただいていると、ママさんが「珍しいものがあるわよ」と、奥から昔の古いアルバムを探し出して見せてくださいました。

現在のビルに建て替える前、まだお店が「甘味屋さん」だった頃のセピア色の貴重な写真。そこにもしっかりと「コーヒー」の4文字が看板に躍っていました。

喫茶すずのレトロで貴重なオリジナルデザインの紙マッチ

帰り際にはマッチもいただき、2度と入手できないよき思い出の品になりました。

おわりに

ハートの手すり越しに穏やかな光が差し込むメゾネット客席のキオク

名駅西口の歴史を見守り、常連さんたちが毎朝ほっと一息つける最高の居場所だった「喫茶すず」。

お店自体は閉業し、あの美しい3階建てのメゾネット建築も解体されて平地になってしまいましたが、こうして写真を見返すたびに、ママさんの優しい笑顔や、鉄板の手すり越しに眺めた美しい店内の光景が浮かびます。

そして何より、太田忠司先生の小説『名古屋駅西 喫茶ユトリロ』の中に息づく「喫茶ユトリロ」のモデルとして、このお店の魂はこれからも多くの読者の心の中で永遠に生き続けるのでしょうね。

閉業後に看板が取り外された喫茶すずの店舗外観

【追記】こちらは閉業後、看板が取り外されてしまった時の様子です。現在は解体されてしまっています。(2023年2月撮影)

ママさんお元気でいらっしゃるといいな。

*2020年9月、2021年3月、2023年2月撮影訪問
*2023年閉店(アーカイブ記録として掲載)

※ 記事の情報は公開日時点のアーカイブです。すでに閉店している店舗のため、現在の状況とは異なりますのでご注意ください。

店舗情報(※現在は閉店しています)

<当時の店舗情報>
喫茶 すず(2023年閉店)
創業:1949年昭和24年)
住所:愛知県名古屋市中村区則武2-24-4
アクセス:名古屋駅新幹線口から徒歩約4分
※現在は解体され、平地となっております。

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