岐阜県恵那市、岩村城下町。江戸時代の面影をいまに伝える町並みを歩いていると、公開されているいくつかのお屋敷に出会います。
中でも「木村邸」「土佐屋」「勝川家」の3館は、同じ城下町に豪邸を構えながらもそれぞれの「顔」が違っていて興味深いのでぜひそれぞれ見学してみてくださいね。
この記事でご紹介する「勝川家」に足を踏み入れると、格式のある木村邸、職人たちが働く実直な土佐屋とはまた違った圧倒的なスケール感と、垢抜けた華やかさが感じられます。
見学料は無料で、所要時間は20〜30分ほど。江戸時代の豪商の暮らしぶりと大正モダンの意匠をじっくり体感できるおすすめのスポットです。

表の通りから足を踏み入れると、奥へ奥へとまっすぐ視線が抜ける立派な通り土間。太い大梁や黒光りする家具が重厚な歴史を物語っています。
しかし、勝川家の本当の面白さは、その奥へと進むにつれて現れる「空間の広がり」と「ハイカラな美意識」にありました。
迷路のような廊下と、静かに佇む大きな蔵
勝川家は酒造業をはじめ、米や薪炭の問屋、質屋や金融業まで手広く営んだ豪商・松屋の邸宅です。

通りから入るとそこは帳場のある広い空間、多くの人が出入りしていたんでしょうね。

家の中を進むと、まるで迷路のように廊下が部屋と部屋を繋いでいます。ガラス窓越しに光が優しく差し込む渡り廊下は、歩いているだけでワクワクするような奥行き感。

その廊下の向こう、中庭の奥に立派な土蔵となまこ壁が目にはいります。
敷地内にどっしりと佇む蔵の姿は、かつて岩村藩の財政まで支えたという圧倒的な資金力と歴史の重みを今に伝えていますね。

手入れされた中庭がどの部屋からも見えるように配置された邸宅、江戸時代の風情を感じますね。
水回りに咲くハイカラな「和製マジョリカタイル」の洗面所
勝川家でぜひチェックしてみて欲しいのが、台所の水回りに使われている「和製マジョリカタイル」です。

日常の一部として使われていた洗面所、そこにはモダンな「和製マジョリカタイル」が残っていました。

日本家屋の一角の鮮やかな七宝繋ぎ(しっぽうつなぎ)模様のタイル!
この意外性こそが、伝統を守り続けながらも、目先がきき新しいものを柔軟に取り入れる、視野の広い実業家としての洒落た遊び心なのかもしれませんね。
3面ガラス張り!2階「娘の部屋」から見下ろす絶景の中庭
さらに階段を上がり、2階の部屋へ向かいます。娘さんのために用意されたというこの部屋(女子(娘)の部屋)が生活感を一番感じられる部屋かもしれません。

部屋に入るとまぶしいほどの明るい空間、なんと部屋の3面が総窓になっている贅沢な造りです。

さらに雨戸すら作られておらず、部屋の中にいながら岩村の山並みや瓦屋根、そして眼下に広がる美しい中庭が一望できるようになっているんですよ。
解説によると、大正後期に東京で腕を磨いた大工(岩村出身)の手によって建てられたものだそう。当時の地方都市においては、飛び抜けてモダンで開放的な建築だったに違いありません。
陽の光とやわらかな風を贅沢に抱き込むこの特等席で、当時の娘さんはどんな景色を眺め、どんな時間を過ごしていたのでしょうか。
大正時代に建てられたこちらの2階部屋、娘への愛情があふれるすてきなお部屋でした。
*藩の財政を支え、どこか武家社会の緊張感と格式が漂う木村邸はこちら↓↓

*染物屋として職人の手仕事と日々の生業の息遣いが残る土佐屋はこちら↓↓

まとめ
まるで迷路のように広く豪華な勝川家、格式の高い相手に商売をしていたのが伺える立派なお屋敷は圧巻です。
そのなかにも、モダンを感じるマジョリカタイルの洗面所、開放感あふれる娘の部屋など日々の生活も感じられるお屋敷でした。
どちらも無料で見学ができるのでぜひ寄ってタイムスリップしてみてくださいね。
※ 記事の情報は公開月時点のものです。最新の情報は施設にお問い合わせくださいませ。
施設情報&MAP
【施設名】
勝川家
竣工:江戸時代末期
住所:岐阜県恵那市岩村町317
アクセス:明知鉄道「岩村駅」より徒歩約15〜20分
>>Google mapで場所を確認する
電話:0573-43-4770
営業時間:10:00~16:00(12月~2月は10:00~15:00)
定休日:火曜日・年末年始

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