日本三大山城のひとつ・岩村城のふもとに広がる城下町へ。
江戸時代の面影がそのまま残る通りをのんびり歩くと目に入ってくる、藍色の美しい暖簾を掲げたお屋敷が「工芸の館 土佐屋」です。
およそ260年前からこの場所で藍染商を営んでいたという、歴史ある豪商のおうち。
重厚な暖簾をすっとくぐると、表の賑わいが嘘のように静かで空気が違う気がします。
前回ご紹介した木村邸や勝川家と同じく、こちらも無料開放されているのでぜひ寄ってみてくださいね。

江戸時代の面影を残す染物商
江戸時代から染物業を営む「土佐屋」、こちらの建物も江戸時代に建てられたものなのだそう。

まるで時代劇に登場するような風情ある佇まいです。

玄関口には「正紺 土佐屋」の看板。お隣の木箱の「消火器」も古いものですね。
正紺(しょうこん)とは?
化学染料を使わず、天然の藍(あい)だけで何度も重ね染めした、本物の濃い紺色・藍色のことなんですって。
商売の顔と職人の顔を仕切る中庭
玄関を入ってすぐはお客を迎えるための母屋。

畳の間には番頭が座る「帳場」が置かれ、商売屋らしく広い土間が奥の作業場へ続く庭まで続いています。

そして母屋から奥に出ると整えられた中庭が奥の建物へと続いています。
この庭は「商いの場」である客を迎える豪華な母屋と、職人さんたちが汗水たらしながら仕事をする織り場と染め場を仕切る結界のような役割を果たしていたんですね。
この緑の空間を渡ることで、生活の場から「職人の現場」へと、自分のなかのスイッチもガラッと切り替わる感覚がすごく面白い。
職人たちの活気が残る仕事場
中庭を抜けて奥の建物に進むと、そこには職人たちの活気が残る仕事場に続いています。

仕事場を入ってすぐの畳の間には機織り機が並び、かつてここで手を動かしながら糸を繰っていた職人さんたちの姿が思い浮かびます。

さらに奥へ行くと古い蔵が並んでいました。

ガッチリと分厚い扉は、防犯だけでなく防火の意味あいもあるのでしょう。
藍染工場のリアルと、計算し尽くされた動線
中庭を抜けた先にあるのが、土佐屋のハイライトでもある藍染めの作業場。
床を覗き込むと、染壺や火壺がずらりと埋め込まれています。

これ、ただ並んでいるわけじゃなくて、職人たちが無駄な動きなくスムーズに染め作業を進められるように計算し尽くされた配置になっていて、火壺で温めつつ隣の壺へ布を移動させて……とかなり効率的になっていてびっくり。
さすが江戸時代から260年続いた染め物商、時代とともに作業を進進化させてきたんでしょうね。

かわいいレトロタイルの洗面台も作業場に残されていました。これは昭和時代のものかしらね。
観光用に作られた展示じゃなく、江戸時代から続けられてきた染め物という「手仕事」の跡が残る作業場。当時の空気感を伝える場所がそのまま残されているのは大変貴重だと思いました。
最奥の草むらに眠る、最後の「隠れ蔵」
さて、土佐屋のミステリーはこの奥に。

作業場を抜けて蔵が並ぶ敷地のさらに奥へと進むと、、、少し低くなった緑の草むらに囲まれるようにして、ひっそりと佇む謎の蔵が現れます。
なんと土佐屋の敷地は、表から一番奥までおよそ100メートルもの奥行きがあるのだそう!
ここに何をいれていたんでしょうね? 想像が膨らみます。
表通りの整然とした商家の顔から、奥へ行けば行くほどディープでリアルに。さらに「えっ、まだ奥に何かあるの!?」ってワクワクな見学でした。
*岩村藩主とも親しくしていた豪商「木村邸」の秘密基地レポはこちら↓↓

まとめ:江戸時代にタイムスリップできる岩村城下町
表通りの洗練された佇まいから、計算された仕事場、そして奥に隠された隠れ蔵まで。
江戸時代から続いた豪商の邸宅には、入口の立派な商いの場から、職人たちの働く姿が浮かんでくるような染め場までがギュッと残されたタイムカプセルでした。
残念ながら岩村城は失われてしまいましたが、岩村城下のかつての賑わいが木村邸や勝川家、そしてこの土佐屋に今も息づいていました。
※ 記事の情報は公開日月時点のものです。最新の情報は店舗にお問い合わせくださいませ。
<施設情報>
工芸の館土佐屋
住所:岐阜県恵那市岩村町263-1
アクセス:明知鉄道「岩村駅」から徒歩約10分
>>googlemapで場所を確認する
電話:0573-43-3231(岩村町観光協会)
営業時間:9:00〜16:30(12月〜2月は10:00〜16:00)
定休日:火曜日(休日の場合は開館)・年末年始
駐車場:あり(岩村町城下町フリー駐車場などを利用)

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