大正ロマンの銀行建築!愛知・新城『鳳来館』で100年の歴史に触れる旅

2024年秋、愛知の素晴らしいレトロ建築を巡る特別イベント「あいたて博(愛知建物博覧会)」に参加し、新城市にある『旧大野銀行(大野宿鳳来館)本館』を訪れました。

大正時代に当時の職人たちが総力を挙げて手掛けたこの名建築は、一歩足を踏み入れれば息をのむような大正ロマンの世界が広がっています。名古屋から電車で2時間以上かけたのんびり旅の様子とともに、鳳来館の魅力を余すところなくご紹介します。

イベント時以外でも、奥の特別室や金庫室、2階の大ホールなど館内をじっくり見学することができますので、ぜひレトロ建築巡りの参考にしてくださいね。

建物情報&MAP

名称旧大野銀行(大野宿鳳来館)本館
(きゅうおおのぎんこう(おおのしゅくほうらいかん)ほんかん)
竣工1925年(大正14年)
設計志水正太郎
見学1階は喫茶室、2階はギャラリー・展示室
その他登録有形文化財(2009年指定)

JR三河大野駅の駅前通りに面する角地に建つ。東西17m南北9.7mの鉄筋コンクリート造2階建で、交差点に面する出入口の東南隅を曲線状に造る。外装は石積風とし、1、2階を貫く柱型やメダイオン付の玄関ポーチが特徴的な地域のランドマーク。

文化庁・文化遺産オンライン参照

街のランドマーク、旧大野銀行の歩み

大野宿の情緒溢れる古い街並みと鳳来館の周辺風景

アクセスはJR飯田線「三河大野駅」から徒歩10分ほど。店舗のすぐ横に駐車場も完備されているので、のんびり鉄道旅はもちろん、車でのアクセスもスムーズです。

大正14年竣工、鉄筋コンクリート造2階建ての旧大野銀行本館(鳳来館)の重厚な外観

建物は1925年(大正14年)に大野銀行本店として建設されました。戦後は東海銀行、外装は石積風の重厚な装飾が施され、豊川信用金庫鳳来支店三河大野出張所として長年使用され、2006年にその役目を終えて閉館。

その後、2007年に現在の「鳳来館」として見事に再生オープンを果たし、2009年には国の登録有形文化財に指定されました。

特徴的な円形レリーフのメダイオンが付いた美しい玄関ポーチと2本の堅牢な支柱

見どころの一つである、美しいメダイオン(円形レリーフ)があしらわれた玄関ポーチ。両側を支える特徴的な支柱が、かつての銀行としての威厳を今に伝えています。

当時、この地域は林業や絹糸、研石などの工場で非常に賑わっており、地元の有力者たちによってこの銀行が立ち上げられたのだそう。今なお街の誇り高いランドマークとして、多くの人に愛され続けています。

1F:銀行窓口の面影を残す明るいカフェ

旧大野銀行の窓口跡を活かした鳳来館1階の明るくクラシカルなカフェスペース

重厚な玄関扉を開けると、そこは地元の方々や観光客で賑わうお洒落なカフェスペースになっています。

たくさんの大きな窓から明るい陽射しが差し込むこのエリアは、大野銀行時代にまさに窓口対応が行われていた場所。カウンター越しに、かつてのお金の行き交う活気が目に浮かぶようです。

(※鳳来館のカフェメニューや、自家焙煎珈琲の詳しい実食レポは別記事にまとめています)

『鳳来館』のカフェでノスタルジーな休日。貴婦人のトイレとサイフォン珈琲の物語
2024年秋「あいたて博(愛知建物博覧会)」イベントで鳳来館を見学してきました。鳳来館は大正14年(1925年)に大野銀銀行として建てられ、今年で100年になる有形文化財指定の風情ある建物。併設のカフェでランチもいただいてきたのでレポ。↓↓…

1F:贅沢な特別室と、歴史を繋ぐ電話室

鳳来館1階の奥にあるクラシカルなソファーと大理石調テーブルが置かれた贅沢な特別室

さらに奥へと進み、左手にあるのがこちらの特別室。アンティークな大理石調のテーブルや、クラシカルなソファーが配置され、実にラグジュアリーな空間が保たれています。

特別室の格調高い絨毯と大正ロマンを漂わせるアンティークインテリア

窓から注ぐ柔らかな光が、贅沢な調度品を美しく浮かび上がらせます。

鳳来館の特別室に佇む歴史の深みを感じる木製の飾り棚とクラシック調度品

調度品の一つひとつから、深みのある大正ロマンの情緒がひしひしと伝わってきますね。

かつて近隣住民も利用していたという廊下の一角にひっそりと残る貴重な木製の旧電話室

廊下の一角にひっそりと佇むのは、なんと当時の「電話室」。銀行の利用者だけでなく、近鄰の町内の人々も公衆電話のように集まって利用していたのだそうです。

木製電話室の内部に大切に保管されている大正・昭和初期のレトロなアンティーク電話機

中には驚くほど良い状態で残されたアンティークな電話機が。この建物がただの金融機関ではなく、地域の日常に深く溶け込んでいた温かい証拠ですね。

1F:分厚い扉が歴史を物語る金庫室

元銀行の面影を最も色濃く残す金庫室の分厚く圧倒的な重量感を持つ鉄製の堅牢な扉

特別室のすぐお隣に構えるのは、元銀行の真髄とも言える「金庫室」。驚くほど分厚い、重厚な鉄製の扉が今もそのままの姿で残されています。

古いお札や貴重な資料がディスプレイされた金庫室内部のお土産販売スペース

室内には古い貴重なお札などがディスプレイされており、覗き込むだけでタイムスリップしたような気分に。現在は、地元のお土産品などを販売するスペースとしても活用されていました。

大正ロマンの風情を湛える鳳来館の美しく磨き上げられた艶のある木製大階段

それでは、趣のある木製の大階段を上って、2階のエリアへと向かいましょう。

2F:極上の職人技が光る大ホール(旧事務室)

かつて銀行の事務室として使われていた広大で高い天井を持つ2階の大ホール全景

2階に広がっているのは、かつて銀行の事務室として使われていた広大な大ホール。現在はレンタルルームやギャラリーとして、様々な用途に愛用されているそうです。

深紅の豪華なカーテンとレトロな縦長窓の格子がノスタルジーを醸し出す大ホールの窓辺

深紅のカーテンや窓に嵌め込まれた色ガラスが、言葉にできないほど美しいノスタルジーを醸し出しています。

当時の大工の粋なこだわりと職人技が散りばめられた大ホールの美しい格子天井

天井の梁や細部に至るまで、当時の職人の意地と技が散りばめられており、見上げているだけで惚れ惚れしてしまいますね。

2F:大正の愁いを映す「竹久夢二展示室」

大野宿と関わりの深い竹久夢二の貴重な絵画や美人画コレクションが集められた展示室

同じく2階には、大野宿と深い関わりがあったという逸話にちなんだ「竹久夢二展示室」が併設されています。

夢二が描いた美人画や貴重なコレクションがズラリと並く空間は必見。中には大変希少な展示もあるそうなので、鳳来館を訪れた際はカフェのスタッフさんに声をかけて、ぜひじっくりと覗いてみてくださいね。

さいごに

鳳来館の素晴らしい建物だけでなく、お隣にあった旧料亭の風情、歴史ある美しい街並み、そして立派なお寺までじっくりご案内いただき、地元の方々の温かいお話に触れられたことが何よりの宝物になりました。

旧大野銀行本店として大正14年に竣工したこの建物は、幾多の変遷を経て現在の美術珈琲鳳来館へと引き継がれました。

名匠・志水正太郎による石積風の重厚な意匠、職人技が光る大ホールの格子天井、そして分厚い鉄扉の金庫室やレトロな木製電話室など、随所に歴史の重みと美学が息づいています。ただ歴史を保存するだけでなく、今も人々が集う生きた文化財カフェとして愛され続ける姿こそ、この街の誇り高いランドマークの真価と言えるでしょう。大正から令和へと受け継がれる街の息吹を感じる、極上のワンデートリップでした。

↓↓※鳳来館の隣にある風情豊かな旧料亭や、大野宿のノスタルジックな街並み散策レポはこちら↓↓

『鳳来館』のカフェでノスタルジーな休日。貴婦人のトイレとサイフォン珈琲の物語
2024年秋「あいたて博(愛知建物博覧会)」イベントで鳳来館を見学してきました。鳳来館は大正14年(1925年)に大野銀銀行として建てられ、今年で100年になる有形文化財指定の風情ある建物。併設のカフェでランチもいただいてきたのでレポ。↓↓…
昭和の時間が止まる街。三河大野でレトロ看板と歴史の遺産を巡る散策記
2024秋「あいたて博(愛知建物博覧会)」で伺った三河大野、緑に囲まれたとてもすてきな町でした。鳳来館カフェでランチをいただいたり、お隣の料亭跡を見学したり、そして町に残る昭和レトロな建物、レトロ好きにたまらない奇跡のような建物をレポ。
職人の粋が宿る。『旧料亭菊水』で出逢う、隠された大正建築の美学
2024年秋「あいたて博(愛知たてもの博覧会)」で『鳳来館・料亭菊水』を見学してきました。大正時代に建てられた洋風建築である「鳳来館」もすてきでしたが、職人のこだわりを感じられる粋な大正和風建築「料亭菊水」も細部にまでこだわった粋な古民家で…

*2025年10月撮影

※ 記事の情報は公開日月時点のものです。
最新状況については公式サイト、お電話にてご確認くださいませ。

施設情報

<施設情報>
大野宿美術珈琲鳳来館
住所:愛知県新城市大野字上野17-2
アクセス:JR飯田線三河大野駅下車 徒歩10分
「新東名」新城IC→国道151号線を約13分
「東名」豊川IC→国道151号線を約40分
浜松→国道257号線を約1時間
営業時間:10:00~17:00
休業日:月曜日
電話番号:0536-32-2332

コメント

You cannot copy content of this page

タイトルとURLをコピーしました