神戸レトロ旅、ずっと気になっていたフランクロイドライト設計『ヨドコウ迎賓館』を、神戸モダン建築祭に合わせて出かけてみました。
神戸には明治時代に建てられた古い建築物がよい状態で多く保存されており、2泊3日ではとても時間がたりないくらいでした。
おすすめ近代建築12選をご紹介しますね。
北野・山手エリア
シュウエケ邸

竣工から130年を超える異人館『シュウエケ邸』、大規模な外観工事を終えて2024年から一般見学が可能となりました。

外装や裏庭はもちろんですが豪華な内装も魅力、贅沢な調度品やシャンデリア、壁一面の名画などウエディングや撮影スタジオとしても人気。
毎月1日のみ限定で一般公開されているのでぜひ足を運んでラグジュアリーな空間を体感して欲しいです。
北野町のメインストリート山本通を代表する異人館。
建築家ハンセルの設計で、自身の自邸として1896年に建てられました。
長らく非公開となっていましたが、今回は、1階とお庭をご覧いただけます。
神戸モダン建築祭参照
元町・旧居留地エリア
海岸ビルヂング

1911(明治44)年竣工の100年超えのビル、神戸に残る近代建築の中でも古いと言われるビルのひとつでメダイオンの装飾がほどこされた宮殿のような魅力的です。

戦災により多くの内装の装飾が失われたそうですが、エントランスを入って一直線に進む階段、3階の天井ステンドグラスと非常に興味深く、一番印象に残った建物でした。
煉瓦造3階建の事務所建築で,設計は河合浩蔵,施工は旗手組。戦災により内装のかなりの部分と外部装飾の一部を失っているが,唐破風状の曲線を取り入れるなど独特の細部意匠が特徴である。現在では店舗,事務所,ギャラリーなどとして活用されている。
文化庁・文化遺産オンライン参照
<施設情報>
海岸ビルジング
住所:兵庫県神戸市中央区海岸通3-1-5
アクセス:地下鉄海岸線「みなと元町駅」徒歩3分、「旧居留地・大丸前駅」徒歩4分
JR「元町駅」徒歩6分、阪神電鉄「元町駅徒歩」6分
旧神戸居留地十五番館

『旧神戸居留地15番館』、1881年(明治14年)頃に建てられたと推測される140年を超える洋館です。

旧神戸居留地に現存する唯一の商館遺構として希少な建造物で、現在はカフェレストラン「Salon15 TOOTH TOOTH」として活用されています。
名称 | 旧神戸居留地十五番館 こうべきょりゅうちじゅうごばんかん |
竣工 | 1881年(明治14年)頃 |
設計 | 不明 |
見学 | Salon15 TOOTH TOOTH |
その他 | 登録有形文化財(1989年指定) |
慶応三年(一八六七)、兵庫(神戸)居留地の設立が決定し、造成工事がはじまった。第一回の競売が明治元年(一八六八)におこなわれ、「十五番」の土地はフランス人が落札しホテルが建てられた。この地に現在の建物が建ったのは明治十四年ころと推定される。昭和四十一年に株式会社ノザワ本社となった。
文化庁・文化遺産オンライン参照
この建物は木骨煉瓦造、二階建で、海に面する南面両端にペジメントをつけ、二階を開放的なヴェランダとして正面性を強調していた。のちにヴェランダを室内に取り込んでいる。
全般的に保存状況がよく、ヴェランダ、中廊下や階段廻りの細部意匠にみるべきものがある。旧神戸居留地に現存する唯一の商館遺構として貴重である。
旧神戸居留地煉瓦造下水道

神戸旧外国人居留地で使われていた煉瓦の下水道、日本で最初期の近代下水施設であるとともに最初期の煉瓦造構造物のひとつとして『旧神戸居留地15番館』敷地内で展示されています。
名称 | 旧神戸居留地煉瓦造下水道 きゅうこうべきょりゅうちれんがぞうげすいどう |
竣工 | 1869(明治2年)~1871年(明治4年) |
設計 | 不明 |
見学 | 展示 |
その他 | 登録有形文化財(2011年指定) |
神戸旧外国人居留地の浪速町筋と明石町筋に残る下水施設。口径約90cm円形管90mと,口径60×46cm卵形管1.5mからなり,いずれも煉瓦半枚厚。我国最初期の近代下水施設であるとともに,最初期の煉瓦造構造物のひとつ。英国人技師ハートの設計。
文化庁・文化遺産オンライン参照
メリケンビル

海岸通『神戸メリケンビル』、日本郵船神戸支店として1918年(大正7年)建てられたビルで、神戸空襲により銅葺きの屋根と円形ドームを焼失しています。

縦のラインが協調された威厳を感じるデザイン、大正ロマンを感じますね。
名称 | 神戸メリケンビル(旧神戸郵船ビル) |
竣工 | 1918年(大正7年) |
設計 | 曽禰達蔵(そねたつぞう) |
見学 | 1階は商業施設 |
その他 | 夜間は日没から22時までライトアップされる。 |
メリケン波止場のすぐ北の初代米国領事館の跡地に1918年、曾禰達蔵・中條精一郎の設計により旧日本郵船神戸支店として建設された近代ビル。 当初は銅葺きの屋根と円形ドームを戴いていたが、1945年の神戸大空襲で焼失した。
1994年に日本設計設計、大林組・藤木工務店施工により施された耐震補強工事によって、1995年の阪神・淡路大震災を軽微な被害で乗り越えた。このリフォームは、第5回BELCA賞を受賞している。
現在は1階は商業施設になっており、2階以上が貸事務所となっているが、非常時以外は2階以上には建物の西側にある通用口からのみ入るようになっている。
2019年4月に旧所有者である日本郵船株式会社が売却し、日本港運株式会社が取得。名称を神戸メリケンビルに変更。
夜間は日没から22時までライトアップされる。
Wikipedia参照
海岸ビル

『海岸ビル(かいがんびる)』、三井物産神戸支店として1918年(大正7年)に建てられ、ルネサンス様式の骨格にセセッションの細部が随所に見られます。

平成7年の阪神大震災で被害にあいましたが、外観を残して建替えられました。
旧神戸居留地バンド(海岸通り)を代表する建造物。三井物産神戸支店ビルとして建てられた。設計は河合浩蔵。鉄筋コンクリート造4階建のオフィスビルで,ルネサンス様式の骨格にセセッションの細部が随所に採り入れられている。
文化庁・文化遺産オンライン参照
商船三井ビルディング(神戸商船三井ビル)

神戸海岸ビルの向いには「商船三井ビルディング(神戸商船三井ビル)」、1922年(大正11年)に大阪商船の神戸支店として建てられました。

神戸空襲や阪神大震災でも大きな被害を免れ、大正生まれの大規模オフィスビルとして当時の姿をおおよそとどめる国内唯一の事例ですが閉館の危機になるそうなので訪問はお早めにどうぞ。
港湾エリア
高砂ビル

1949年(昭和24年)に建てられた75年を超えるレトロビル。

創建当時の姿をそのまま残し、多くの映画ロケ地としても人気の渋ビルです。
李 義招先々代会長らが、第二次世界大戦後いち早く配給物資のセメント材料を確保し、江戸町百番のこの地に、新築ビルとして建設したのが1949年のこと。
文化庁・文化遺産オンライン参照
本業であった帽子の製造・関連素材の輸出入と保税上屋(営業倉庫)は、時代の流れとともに移り変わり、先々代会長のアイディアで、天井の高さが3.5~4m、現在でいう“ロフト”付きの貸事務所として1972年、不動産賃貸業を開始。
神戸税関

1927年(昭和2年)に建てられた神戸税関2代目庁舎、貿易港としての神戸を繁栄を象徴する建造物でもあります。

4階吹き抜けの玄関ホールが圧巻! 重厚感があります。
予約なしで一般見学も可能、こちらで詳しく↓
貿易港・神戸の繁栄を象徴する堂々たる建物です。
圧巻は、4階分を吹き抜けた巨大な玄関ホール。
円柱が立ち並ぶさまは、さながら古代ヨーロッパの神殿のよう。かつて貴賓室として使われていた2階の部屋を公開します。
神戸モダン建築祭参照
また、広々とした中庭を抜けた先にある新館では、普段は非公開の屋上へも立ち入ることができます。
新港貿易会館

1930年(昭和5年)竣工の『新港貿易会館』、外壁はスクラッチタイルで幾何学図形やアールデコ風の装飾など取り入れた独創的な事務所ビルです。

エントランスのステンドグラスが印象的。
神戸の新港地区に建ち、建築面積519㎡、鉄筋コンクリート造四階地下一階建である。外壁はスクラッチタイル貼で、十字路に面した西南隅に出入口を開く。幾何学図形やアールデコ風の装飾など新しい意匠を巧みに取り入れた独創的な事務所ビル。
文化庁・文化遺産オンライン参照
神戸KIITO

旧館の竣工1927年(昭和2年)で輸出生糸の品質検査を行う施設として「神戸市立生糸検査所」として建設されました。

現在『デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)』として活用。
イスラムアーチの装飾的なエントランスや階段分やレトロなエレベーターなどを見学できます。
神戸市中央区の新港地区の旧神戸生糸検査所を改修し、ユネスコ創造都市ネットワーク「デザイン都市・神戸」の創造と交流の拠点として、2012年8月に開館しました。
公式サイト参照
この施設でかつて生糸の品質検査を行っていた歴史にちなみKIITO(きいと)という愛称で呼ばれています。
六甲・御影エリア
ヨドコウ迎賓館

2代目帝国ホテルのため来日していたフランク・ロイド・ライトの建築のうち、当初の姿を残す唯一の住宅遺構『ヨドコウ迎賓館』。

1924年(大正13年)竣工、フランクロイドライトの「幾何学的な装飾と流れるような空間構成」はぜひ足を運んで体感したい。
開館日が少ないのでご注意を、こちらで詳しくレポしています↓
芦屋市の六甲山麓、芦屋川左岸の細長い丘陵上に位置する。著名なアメリカ人建築家フランク・ロイド・ライトが来日中に設計した作品のうち、当初の姿を残す唯一の住宅遺構。住宅は大正13年に竣工した。鉄筋コンクリート造、4階建で、傾斜地を利用して段状に建てる。高低ある平面、独特の意匠などライトの作風をよく表わしており、日本の近代建築史上重要な意義を持つ。敷地は、西南を崖とする丘陵を擁壁や石垣で大きく三段に造成し、住宅は最上段に建つ。急峻な丘陵頂部への住宅の配置は、建築と自然の融和を目指したライト自身の構想により、特徴的な形状の敷地は住宅と一体となって価値を形成している。
文化庁・文化遺産オンライン参照
さいごに
港町として横浜とよく比べられる神戸ですが、横浜よりも多くの明治時代初期の西洋建築が残っています。
また規模は横浜にはかなわないものの、味わい深い近代建築が多くて個人的には好みですね。
そして横浜マダムも神戸マダムもそれぞれおしゃれで上品で憧れます。
2泊では時間が足りず、またぜひ神戸に伺いたいです
*2024年11月撮影