念願の「ヨドコウ迎賓館」、神戸モダン建築祭に合わせて見学してきました。
明治村に残る帝国ホテルライト館建設中にフランクロイドライトが設計した「旧山邑家住宅
(きゅうやまむらけじゅうたく)」、100年を超えて当初の姿を残す日本で唯一の住宅。
芦屋の高台からの眺望もすばらしく、ライト独特の流れるような空間デザインを堪能できる建築でした。
建物情報&MAP
名称 | 旧山邑家住宅 (きゅうやまむらけじゅうたく) |
竣工 | 1924年(大正13年) |
設計 | フランク・ロイド・ライト |
見学 | 一般公開(有料) |
その他 | 重要文化財(1974年指定) |
芦屋市の六甲山麓、芦屋川左岸の細長い丘陵上に位置する。著名なアメリカ人建築家フランク・ロイド・ライトが来日中に設計した作品のうち、当初の姿を残す唯一の住宅遺構。住宅は大正13年に竣工した。鉄筋コンクリート造、4階建で、傾斜地を利用して段状に建てる。高低ある平面、独特の意匠などライトの作風をよく表わしており、日本の近代建築史上重要な意義を持つ。敷地は、西南を崖とする丘陵を擁壁や石垣で大きく三段に造成し、住宅は最上段に建つ。急峻な丘陵頂部への住宅の配置は、建築と自然の融和を目指したライト自身の構想により、特徴的な形状の敷地は住宅と一体となって価値を形成している。
文化庁・文化遺産オンライン参照
アクセスは?

阪急「芦屋川駅」より北へ徒歩10分、JR「芦屋駅」より北西へ徒歩15分ほど。
芦屋川駅から川沿いの道を上がっていくと坂の上にヨドコウ迎賓館がチラリと見えます。

門からさらに緑に囲まれたゆるやかな坂をあがっていきます。
1階エントランス

小径を行くと邸宅エントランス、その向こうには街を見下ろす絶景が広がっています。

車寄せ、2階部分が一枚ガラスになっていてレストランみたいですね。

エントランスからの眺め、邸宅が建てられた100年前にはどんな景色が広がっていたのでしょう。

エントランス扉にはフランクロイドライトらしい幾何学模様のモチーフ、邸宅内にあちこちで使われています。
2階 応接室

1階は受付になっている玄関とクロークのみ、2階にあがると応接室があります。
応接室には暖炉、フランクロイドライドは人が集まる場所には必ず暖炉を設置していますね。

六角形のテーブルと椅子、フランクロイドライトらしいデザイン。

ベランダに続く窓のデザインもすてき。

帝国ホテルライト館でも使われている大谷石がヨドコウ迎賓館でも使われています。
崩れやすい石だそうですが、さすが個人宅だけに帝国ホテルよりよい状態で保存されているようですね。

天井すぐには明り取りの小窓、一つづつ稼働する扉がついているという細やかな造り。
3階 廊下

3階の廊下、長い廊下があるのはここ3階のみ。 11月だったので紅葉が美しい。

季節、時間の変化によって動く影もフランクロイドライトらしい楽しみ。
3階 和室

3階は畳の和室や寝室があり、大正時代の洋館でもプライベートスペースはやはり和室ですね。
鴨居も幾何学模様。

窓は和と洋のミックス。

和室の向こうは寝室だったのかな、高低差があり不思議な空間。

和室から見えた寝室、ディスクとチェアもフランクロイドライトがデザインしたものかと思われます。


1世紀を越えてこうして残っていることが感無量ですね。
3階 浴室&洗面室

浴室は総タイル、窓もおしゃれ。

蛇口もかなり古いもののようです。

洗面所。

こちらは新しめ。

洗面所の横の水場。

上の水場は階段途中にあり、意識しないうちに上がったり下がったりして自分が何階にいるのかわからなくなります。
4階 食堂

4階の食堂、こちらにも暖炉があります。

奥が厨房になっています。

四角く尖がった屋根に向かって流れるようなライン。

食堂からバルコニーに出られます。
4階 バルコニー

バルコニーから見た食堂。

バルコニーはかなり広く、ここにテーブルや椅子を並べて景色を眺めながら会食してたのかしら。

山側の眺め。

こちらが海側かな。
迷路のような不思議な空間

フランクロイドライトの特徴は「幾何学的な装飾と流れるような空間構成」と言われます、幾何学的な装飾は画像でわかりますが”流れるような空間構成”は実際にこの場所に来ないと味わえないですね。

明治村「帝国ホテルライト館」でも”流れるような空間構成”は味わえますが、完成形の邸宅として不思議な空間感覚を楽しめました。
日本のフランクロイドライト設計の建築↓
さいごに
憧れのフランクロイドライト「ヨドコウ迎賓館」、期待以上にすばらしかったです。
日本に現存するもう一つのフランクロイドライトの作品「旧林愛作邸」も見てみたいですね! 一般公開されることを願います。
*2024年11月撮影
施設情報
<施設情報>
ヨドコウ迎賓館
住所:兵庫県芦屋市山手町3-10
アクセス:阪急芦屋川駅より北へ徒歩10分、JR「芦屋駅」より北西へ徒歩15分
開館日:毎週水・土・日曜日と祝日
開館時間:10:00~16:00(入館は15:30まで)
入館料:大人500円、小中高生200円、シニア(65歳以上)400円
駐車場:乗用車7台・中型バス2台